人間はリラックスしているときにα波という脳波を出します。GABAを摂取することでこのα波が増加するため、GABAにはリラックス効果があることがわかっています。脳がストレスを感じる仕組みには、活動、緊張などの状態をつかさどる交感神経と、休息、リラックスなどの状態をつかさどる副交感神経が大きく関わっています。ストレスを感じると脳が緊張状態になるため、交感神経が活発に働き、神経が高ぶります。自律神経のバランスが崩れてしまい、胃潰瘍[※7]や不眠、高血圧など、体に支障をきたしかねません。特に胃はストレスに対して非常に敏感な器官であるため、慢性的にストレスを感じると過剰な胃酸を分泌し、胃や十二指腸の粘膜を攻撃してしまいます。GABAは副交感神経を活発にして心と体を落ち着かせることで、このようなストレスからくる症状や悪影響を防ぐことができます。また、GABAは神経を抑制するリラックス効果から、更年期障害にみられる不定愁訴(ふていしゅうそ)を改善するということもわかっています。GABAによって、ストレス状態がどのように変化するのかを調べた実験では、高所恐怖症の男女に吊り橋を渡らせるときに、GABAを摂取することによって、精神的なストレスが緩和されていたことがわかりました。これは吊り橋を渡る前と中間地点、渡った後に唾液を採取し、精神的なストレス状態によって唾液中に放出されるクロモグラニンAという物質を調べた結果です。また、吊り橋を渡る前後に心理テストを行ったところ、GABAを摂取することで、緊張や不安を抑えられる効果も明らかになりました。