トンカットアリは、マレーシア、インドシナ半島、スマトラ島、ボルネオ島の熱帯雨林に中に自生するニガキ科の植物で、何年もかけてじっくり成長します。栽培することは非常に難しく、食品として利用されるトンカットアリは全て野生のものに限られます。直径15cmの幹になるのに約10年を要し、葉は長さ約5cm~20cm、幅1.5cm~6cmほどの小葉です。花は両性花で、小さな花弁は細かい柔毛におおわれています。果実は硬く、長さ約1,2cmほどの楕円形で、初めのうちは黄土色をしていますが熱を増すと茶色がかった赤色になります。トンカットアリは葉や幹、根に特有の苦みを持ち、この苦みが様々な効果をもたらします。主な成分はグリコサポニン、ユリペプチド、カシノイド、アルカロイド、ステロール、テルペノイドです。伝統的にトンカットアリは特に男性向けの強壮薬として利用されており、男性のバイタリティーと欲求の増進のために、その根を煎じて飲まれていました。他にも、マラリアの治療薬としての働きや男女のホルモンバランスの調説、血液のめぐりをよくして冷えやむくみを予防するといった効果があります。
マレー半島に伝統的にトンカットアリの根を煎じて飲んでいる民族があり、彼らをオランスアリと呼びます。オランスアリとは「人々の起源」もしくは「初めの人々」を意味しており、彼らは6500種以上の植物を病気の治療に利用しています。現在でも10人以上の家族は珍しくありません。昔はトンカットアリを引き抜くときには、その前に神に祈りを捧げるような風習があったそうです。
トンカットアリはと強い苦みを持っているため、サプリメントして摂取されることが多いです。サプリメントには通常、根の部分が用いられます。非常に苦いため、ほとんどがカプセルになって、水かぬるま湯で摂取されます。しかし、マレーシア国内では、トンカットアリが配合されたコーヒーや栄養ドリンクなどが商品として販売されているようです。
トンカットアリは、男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促します。テストステロンの分泌が増えると、肉体的、精神的な疲労を抑えたり、スタミナを アップさせたりといった効果が期待されます。
男性も女性も、性ホルモンのバランスが乱れがちな更年期に、更年期障害が起こりやすくなります。男女ともにほてりやのぼせ、不安な気持ちや倦怠感などを感じがちです。トンカットアリは、特に男性のテストステロンの増加などバランスを整えてくれる植物として有名ですが、女性の性ホルモンの分泌を促し、更年期の症状をやわらげます。女性においても低テストステロンレベルは発生することがあり、トンカットアリは、男性だけでなく女性のホルモンバランスも整えます。
解熱、産後回復、炎症性の腫れ物、創傷、潰瘍、梅毒、歯肉出血の治療などに効果を発揮します。トンカットアリは血液の流れを良くする効果があり、冷え性の改善に有効です。また、血流が良くなることで細胞が活性化し、腎機能や肝機能の改善にも有効です。また、体内の水分の流れも良くなり、むくみの予防・解消にも効果的とされています。利尿作用もあり、体内の水分量が多くむくみを感じているときには、トンカットアリの利尿作用が効果を発揮します。さらに、その他に、抗ガン・抗HIVの特性も発見されています。
哺乳類を対象に、トンカットアリ、ハマシビ、リーザ抽出物を10週間摂取させたところ、性情動が上昇し、精液量、精子濃度、精子運動能力が有意に上昇していたことから、トンカットアリは男性性機能改善効果を持つと考えられています。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21092065
ラットを対象に、トンカットアリを200㎎/㎏または800㎎/㎏飲用させた結果、テストステロンおよび筋重量の増加傾向が認められました。また、精子濃度、精子運動能が上昇したことから、トンカットアリは男性機能改善効果を持つと考えられています。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23464350
トンカットアリは抗糖尿病、抗細菌、解熱薬として使用さて来ました。有効成分としてユーリコマオシド、ユーリコラクタン、ユーリコマラクタン、パサビキンBを含むことが知られています。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20434529
ステロイドなどの医薬品は、精力の増強効果は高そうですが、副作用のリスクは否定できません。天然成分で副作用のリスクの低いトンカットアリを、ぜひ試してほしいと思います。